第17章 【信玄編・後編】※R18※
二人の舌が絡みあい、唾液が水音をたてる。風の音すらしない静寂の中で、その微かな音がやけに淫靡に響く。
信玄の手が、竜昌のうなじをより強く引き寄せ、二人の唇はさらに深く交わった。
「んん…」
喉の奥から自然と出る、くぐもった呻き。
こくり、と竜昌の喉が小さく動き、自分と信玄の唾液が混じりあったものを飲み下す。
信玄は唇を離し、親指で竜昌の濡れた唇を拭った。もし灯りがあれば、信玄が満足そうに笑う様が竜昌にも見えただろう。
信玄は、片手で竜昌の手を取ると、二・三歩後ろに下がり、框に腰かけた。その脚の間に、竜昌が立ち、今度は信玄の顔を見下ろす格好になる。
信玄は催促するように、つっと竜昌の手を下に引いた。
竜昌の震える指が、暗闇の中の信玄の頬をとらえる。竜昌はその手触りをたよりに腰をかがめ、今度は自ら信玄に口づけた。
おずおずと差し出された竜昌の小さな舌先を、信玄が強く吸いあげる。
「んッ…!」
舌先が痺れるような感覚とともに、竜昌の腰がびくりと震えた。
信玄はまるで飴を舐るように、くちくちとを音をたてて竜昌の舌を吸った。
その動きにあわせて、まるで吸い取られるかのように、竜昌の指先や膝から力が抜けていった。
がくがくと震えはじめた竜昌の膝を、信玄は抱え上げるように引き寄せた。
竜昌はされるがままに、框に膝をつき、信玄に跨るようにその膝の上に座る恰好になった。袴越しでもわかるほど あられもなく熱を帯びた竜昌の内腿が、信玄の硬い脚に触れる。
恥ずかしさに咄嗟に身体を引こうとしたが、信玄の腕がそれを許さなかった。
竜昌が奪われたままの舌をやっとの思いで引き抜くと、それを追いかけるように信玄の舌が口内に侵入してきた。
信玄の厚い舌が口内を這い、無防備な粘膜が蹂躙されていく。不快なはずのその感触が、身体の奥の熱をどんどんと上げていき、ついに竜昌が背筋をしならせて喘いだ。
「あっ、やっ…」