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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第17章 【信玄編・後編】※R18※


怒涛の土煙とともに敵に迫る騎馬隊の後ろで、弓隊がキリリと弓を引いた。

ピ────ョッ…

長く尾をひくような鳶の鳴き声。それが止むと同時に、弓隊は前方の広場に向かって、一斉に矢を放った。
騎馬隊を追い越し、木々の枝の間を通り抜けた矢は、こちらの騎馬隊を待ち受けて射掛けようと、今まさに位置どったばかりの、相手の弓隊を直撃した。

「グワァッ」

突然の矢の雨に動揺した前線の弓隊を、驚くほどの速度で突撃してきた騎馬隊が、かたっぱしから蹴散らしていく。

「チッ」

次に控えていた弓隊が矢をつがえたが、すでにこちらの陣内に突入してきた騎馬に射掛ければ、味方にも当たってしまう。
もたついているうちに、竜昌の騎馬隊は、高城兵たちが埋めていたはずの左舷を悠々と突破し、速度を全く落とすことなく、信玄のいる本陣に横から突っ込んでいった。

ピイ─────ッ

直撃された本陣に全員の視線がそこに集まる中、竜昌の弓隊から再び矢が放たれた。本陣に気を取られていた者たちは、背後からの矢をまともにくらって次々と斃れていった。

迎え撃つつもりが挟み撃ちにされたことに、信玄の軍勢が気付くのに、そう時間はかからなかった。
その事実にさらに動揺した高城兵は、散り散りになって逃げまどった。

「クソがッ!うちのモンはついて来い!突っ込むぞ!」

幸村はその手の十文字槍をぶんと大きく振りかぶりながら、いまだ広場に出てこずに街道に陣取っている竜昌の弓隊に向けて、駆けだした。
しかしそれを読んでいたかのように、弓隊は奥へと退き、代わりに現れたのは歩兵隊だった。
歩兵隊は、幸村率いる槍隊と激しく衝突した。

「単なる小競り合いじゃなかったのかよ…これじゃマジもんの戦だぜっ!」

幸村の槍隊は善戦したが、いかんせん相手の数が多い。しかも、あまり前進しすぎては相手の陣に引き込まれてしまうため、思うように切り込めない。

ちらりと後ろを振り返ると、乱戦状態となった広場の奥で、信玄と騎馬隊が今まさにぶつかりあう様が見えた。

「御館様───ッッ!!!」

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