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【イケメン戦国】夢と知りせば覚めざらましを

第12章 【秀吉・後編】※R18


「信長様、長い間お暇を頂き、大変ご迷惑をおかけいたしました。本日から勤めに戻らせていただきます」
「うん」
「城内に変わりはございませんでしたか?」
秀吉が問うと、信長は皮肉げに笑った。
「猿がおらぬせいで、金平糖もやすやすと手に入らぬわ」
「っは?」
秀吉がいない間、金平糖の管理は竜昌が仕切っていたはずだ。
「竜昌がなにか、ご無礼でも?」
「ううん、違うの。りんちゃんが金平糖を隠すのが上手だから、金平糖がつまみ食いできなくて、ちょっとだけイライラしてるんですよねー?信長様?」
舞がくすくすと笑いながら、信長の顔を覗き込むと、信長はバツが悪そうに顔をそらした。
「ははは…では私がまた…」
「良い。このまま竜昌に頼む」
「はあ」
「秀吉、貴様は少し働きすぎだ。これからは周りの者にも任せよ」
「…!」
「お前に言えばなんでも出来てしまうからな、俺も甘えすぎていた。これからお前の下に優秀な若人を何人かつける。育てながら、仕事を分けてやれ」
「は!勿体無きお言葉!」
「まずは竜昌だ」
「え…」
「お前の配下につける」
「ははっ!ありがたく!」
秀吉はガバッとひれ伏したが、喜びのあまり唇が緩むのを止められなかった。
秀吉が、信長の正面を辞して、自らの定位置に戻ると、隣に座っていた政宗が話しかけてきた。
「もう傷はいいのか」
「ああ、問題ない」
にこやかに答える秀吉に向かって、政宗がニヤリと笑った。
「そうか、あれはてっきりお前の傷の血かと思っていたがな」
「え?」
秀吉が不審な顔で政宗を睨みつける。
「餅でも用意しとけばよかったかな?」
政宗が、昨夜の寝所でのことを言っていると気付き、秀吉は再び赤面した。
餅は、平安の昔より「露顕(ところあらわし)」つまり契りあった男女の婚姻を祝う席で食される、縁起物だった。
 
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