第2章 【女城主編】※共通ルート おまけ
その夜、安土城ではさっそく竜昌を歓迎する宴が開かれた。
竜昌と菊は、武将たちに酌をしながら挨拶に回っていた。
「それにしても藤生家は美人揃いだなあ、家康?」
「なんで俺に振るんですか」
絡んでくる政宗に心底嫌そうな顔をしながらも、家康は菊からの盃を受けていた。
「まあ伊達様ったらお上手ですこと」
酒を飲まない政宗もさえも、見眼麗しい菊に側に侍られ、まんざらでもない様子だ。
そこへ話を聞きつけた竜昌が、にじり寄ってきた。
「お言葉ですが伊達様、姉様にはすでに三人の子がおりますよ?」
「えええええええ!!」
政宗の大声に、家康が酒を噴き出した。宴席じゅうの視線と笑いが集まる。
菊の背は竜昌にくらべて頭ひとつ分ほど低く、あどけない大きな瞳はむしろ竜昌よりも若く見えるほどだった。しかしまさか子がいるとは。
「ええ、私がりんの齢のころにはもう一人目を授かっておりましたよ」
菊がふと思い出したように真顔になって、竜昌を振りかえった。
「りん…あんたまさか、『俺より強い男でないと婿にはとらん』とか、まだ寝ぼけたことを言ってるんじゃないでしょうね?」
「ぐ…」
「ほほう?」
それを聞いた政宗の眼が悪戯っぽく光った。
「竜昌、俺は近いうちにお前と秋津でのケリをつけねばならんと思っていた。それに勝てば俺にも婿の資格があるってことだな?」
それを聞いた菊が、喜々とした様子で政宗の袖を引いた。
「伊達様、是非お願い致します! ああ言って秋津じゅうの若衆を叩きのめしたこの子に、どうかお仕置きしてやって下さいな」
「お…?おう…」