第5章 試験×ノ×開始
「あ、ヒソカも一緒にご飯食べる?」
「“も”? 誰と食べるんだい?」
「トンパ」
「………」
「い、言いたい事があるなら言いなさいよ」
トンパの名前を出した途端に、ヒソカからあの不気味な笑みが消えた。
無表情でジッと私を見つめてくる。
そして再びニコッと笑って、
「君、馬鹿でしょ?♦︎」
キイィィーッ!
口を開いたかと思えばこいつはー!
しかも笑顔なのが更にムカつく!
ヒソカを睨みつけるが、睨まれた本人はどこ吹く風である。
「お持たせ〜…!?」
「やあ♠︎」
「ど、どうも……へへっへ…」
「美味しそう!」
ヒソカを見たトンパは明らかに焦っていたが、ヒソカを見れば誰でも焦るから気にしない。
早く食べたいのだがトンパは一向に私へ食事を渡す気配がない。
「トンパ?」
「あ!この料理髪の毛が入ってる!ったくも〜 悪ィ、食欲が無くなっちまった。これも処分しておくよ…」
何という事だ。
せっかくのご馳走なのに。
「そんなぁ…」
「代わりにボクがご馳走してあげる❤︎」
「ありがとうございまーす!」
もうしばらく待つ事にはなりそうだが、ご馳走が食べられるなら待ち続けよう。
不思議な事に、ヒソカはトンパと同じ料理を注文したのに明らかにトンパより早く戻ってきた。
「ハイどうぞ♣︎」
「いただきます!」
今まで味わったことのない料理に私は興奮しきって上機嫌だ。
ヒソカの人を見下す様な視線も気にならない程に。
「そういえば、出身はどこなんだい?」
「私の故郷? ごめん、それは言えない。 故郷の場所は口外禁止なんだ。森の奥深くとだけ」
何故かは知らないが、婆様達から外の人間に居住地を教えるのは禁止だと口を酸っぱくして言われた。
もし場所を漏らしたら舌を切り落とすとも……
「そうなんだ。 残念♠︎」
とか言って全然残念そうに見えないぞ。
「その格好、知り合いと少し似てたから気になってね♣︎」
「あ、そのお知り合いってもしかしてジャポン出身?」
「いや、違うけど?」
「そっか〜 これ、ジャポンって国の民族衣装に少し手を加えてるんだよ。 だから、似た格好ならジャポン出身者か私と同じアマゾネスだね」
「ボクの知る限りどっちも違うね」
「そっかぁ」
「アマゾネスって?」
「あぁ、そういえば私の事あんまり話してなかったね」