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【YOI夢】ファインダー越しの君【男主&オタベック】

第2章 グレースケールではないモノクローム


「確か彼は、来週頭までピーテルに滞在してると言ってたっけ」
あの日半ば強引にユーリによって、メッセンジャーのグループ登録をさせられたのを思い出した守道は、彼のアドレスにメッセージを送った。
『今度の土曜日に、大学の友人達とモノクロフィルムとカメラを使った撮影会をするから、良かったら君もどう?』
誘ったのは、ただの気まぐれである。
写真が好きそうだったので、デジタルでは味わえないフィルムカメラの楽しさを知って貰うのも良いかな、と思っただけだった。
先日の一件もあるし、スケートの練習も忙しいだろうから、断られるのはまだましな方で、最悪未読スルーもあり得るかと守道が考えていると、スマホから着信音が鳴り、画面を開くと予想外のメッセージが飛び込んできた。
『俺は、フィルムカメラの類を何も持っていないが、参加しても良いのか?』
「…え?」
間抜けな話だが、オタベックからの返事に誘った守道本人が一番驚いていた。
暫しスマホを手に固まっていた守道だったが、学友の視線に我に返ると、文字を打つ。
『カメラやフィルムは、全てこちらで用意するから大丈夫だよ。現像で薬品を扱うから、あまり上等な服は着て来ない方が良いけど』
『判った、行く』
テディベアのスタンプと一緒にOKの返事が届いたのを見て、守道は、周囲に首を傾げられる程呆けた顔をしていた。

土曜日。
「おはよう。折角の休みなのに、付き合ってくれて有難う」
「別に…俺も気分転換をしたかったし、一度ちゃんとフィルムカメラを使ってみたかったからな」
滞在先のロビーまで自分を迎えに来た守道に、オタベックは努めてそっけなく返した。
待ち合わせについて遣り取りをした際、守道の大学か最寄り駅に向かうと言うオタベックに対して、守道は一貫して「俺が君の滞在先まで迎えに行く」と譲らなかったのだ。
『君は、しがない学生の俺とは違って、祖国の英雄とも呼ばれる人間だ。君は、君が思っている以上に祖国や祖国の人達にとって、かけがえのない存在である事を忘れてはいけないよ。…何より、勝手に君を連れ出して何かあった日には、俺が純先輩に殺されるからね。マジで頼むわ』
見かけによらず思慮深い所もあるのかと感心しかけたものの、続けられた言葉にオタベックは脱力した。
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