第11章 遠征
清光くんを始めとし色んなところから異議があったが華麗に受け流し、各自準備をするよう伝えた。
私も自室に戻り準備を開始する。
「2日に渡る遠征か…」
「宿は向こうで手配しますし、食事も向こうの物を食べますから、必要最低限のもので大丈夫ですよ」
「そうか。助かるよ、こんのすけ」
「いえいえ。今回は調査だけですので、危ない目に遭う事も無いと思いますが、くれぐれも気を付けて下さいね」
「あぁ、ありがとう」
準備を済ませ庭に集まり
早速、遠征へ出発した。
-平安時代 京都-
「これが平安時代の京の都か…」
「主は初めてだったね。どうだい? 風流だろう?」
「あぁ。趣があって良いな」
小高い丘から、街並みを見下ろしていた。
「…で、隊長。これからどうする?」
「まずは宿を押さえよう。その後は組を分けて調査に向かって貰うよ」
「了解だ♪」
街へ下り宿を探していたのだが
何故か今日に限って大部屋の空きが見付からず
小部屋を2つ借りる事になった。
「お、じゃあ俺が主と一緒の部屋に…」
「却下。主と…今剣と石切丸の3人で一部屋を使って欲しい」
「とうぜんですね!」
「うん、良いよ」
「後の者は僕と同室だよ」
「随分と信頼がないな」
「はは…仕方ないね」
歌仙さんのリーダーシップにより直ぐに部屋割りが決まり、これからの調査についてもすんなりと計画が決まった。
歌仙さんと光忠くんが、この辺りの衣食住についての調査。
今剣くんと薬研くんと鶴丸さんが、この街の治安についての調査。
そして。
「石切丸、主にこの辺りの神社を案内してあげてくれないか? キミはこの辺りに詳しいだろう?」
「勿論構わないよ」
「歌仙さん…良いのか!?」
「あぁ。神社はこの国の重要な文化財だからね。調査する必要もきっとあるだろう」
「歌仙さん…感謝する!!」
歌仙さんの優しさに感謝して、石切丸殿と京の街並みを歩いた。
目に映る物がみな新鮮な私に、石切丸殿は一つ一つ分かりやすく教えてくれて、勉強になる事ばかりだった。
話ながら歩いていると、目的の神社へはすぐだった。
宿から程近い、小さな神社。
「この神社…」
私の育った神社に、とても良く似ていた。