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とうらぶ夢倉庫(長編館)

第11章 遠征





朝。


いつも、目覚めは悪い方じゃないのに、
今日は頭が酷く痛む…
何故だ…??


そして、不思議なことに
昨日、光忠くんと万屋に行って帰ったあたりから
記憶がないのである。






「主…、起きてる…かい?」
「ん? あぁ、光忠くん、お早う。朝食の準備だな、今すぐ支度をしよう」
「あ、急がなくても大丈夫だよ。…その、身体の調子はどうだい?」
「身体? あぁ、斬られた時の傷か? もう何ともないぞ」
「…ん?」
「ん? 違ったか? …もしかして、昨日何かあったのか? 実は記憶が無くてだな…」
「ううん!!! 何も!!! 何も無かったよ!!!」
「そ、そうか? なら良いのだが…(笑)」





何だか光忠くんの挙動がおかしいように思えるが…
まぁ気にしないでおこう






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満開の桜の木。
とても美しくて、いつ見ても飽きない。
今もまた…




「…どうした、主」
「ん? あぁ、山姥切くんか。木の上にいるとは気付かなかった」
「…何か考え事をしているように思えたが」
「…まぁ、な。私もそっちへ行っても良いか?」
「は? その格好で登る気か? …って、全く、アンタって奴は」
「このくらい造作も無いさ」
「少しは女らしく振る舞ったらどうだ?」
「…振る舞っているつもりだがな(笑)」




山姥切くんの元へ行くと
まるで桜の世界に迷い込んだようで
下から見上げるのとはまた違った良さがあった。



「いい場所だな、ここは」
「…あぁ」
「…聞かないのか? 考え事について」
「話したいなら聞いてやる」
「そうか」



ぶっきらぼうな言い方だが、山姥切くんの優しさが伝わってくる。

考え事については、まだ頭のなかで纏まってないのだが、少しずつ言葉にした。



この桜を見ると
何かを思い出しそうなのだ。


大切な、何か



でも、思い出せなくて、もどかしい。

そんなことを。




「…別に、焦らなくても良いんじゃないか?」
「え…」
「この桜は、そんなにすぐに枯れない。例え、枯れてしまったとしても、また来年がある」
「そうか…、あぁ、そうだな。ありがとう山姥切くん」
「…礼を、言われる程の事じゃない…///」
「嬉しい時は礼を言うものだ」
「…勝手にしろ///」








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