第12章 ~願いよ、風に乗って届け~
家康とは人通りの多い城下の道を通りすぎ、人気の少ない道に出たところでふと家康が足を止める。
「?家康、どうかした?」
家康「ごめん、あんたに選ばせようと思ってたんだけど…」
ゆっくりとの方へ振り返り、自身が選んだ簪を見せる。
「わぁ…すごく可愛い」
家康が見せた簪は、金平糖のような星の形が連なっており、所々の丸い球にはピンクの小花があしらわれ、黄色く透き通っていた。
「ありがとう!大切にするね」
頬を染め、嬉しそうに笑うを見て
家康「これ着けたら、仕上げだから。動かないでじっとして」
の正面から髪へと手を伸ばし、そっと簪を挿すと、シャラン…と星達が擦れる音がした。
「似合う?」
家康「…俺が選んだのが似合わないとでも言うの?」
「えへへっ言わない!すっごく嬉しい」
家康「あんたの顔見たら、すぐ分かる」
柔らかい笑みで髪を一撫ですると、もう一度手を繋ぎ城へと戻っていくのだった。
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数日後、の部屋には佐助の姿があり、二人でお茶を飲んでいた。
「でね、家康が結ってくれた後からも、みんなが順番決めてアレンジしてくれてるの。今ではみんなの方が私より上手なんだよ!」
佐助「俺も家康公に結ってほしいから髪伸ばそうかと思ったら幸村に全力で止められた」
「…それはそうだと思うよ」
佐助「ピクニックの時に政宗さんがさんの髪を結ったのがよっぽど信長様達の闘争心を煽ったんだろうな」
「うーん、何でだろう?」
佐助「いつか、謙信様たちも含めてさんをヘアアレンジのモデルにするのも楽しいかもしれないな」
「それ、楽しそう!みんなとピクニックに行けて色んなきっかけが出来た気がする」
佐助「うん、俺もそう思う」
「ねえ佐助くん!また来年もその先も、みんなでピクニック行こうね!」
佐助「さんが言うと、本当に叶いそうな気がする」
「叶いそうじゃなくて、絶対叶えるんだよ?」
佐助「来年までに少し髪を伸ばしておく」
「あははっ!楽しみにしてるね」