第1章 秋の訪れ
「うぅーーーーんッッ風が気持ちー!!」
は500年先の未来から乱世へとタイムスリップし、本能寺で織田信長を助けたことをきっかけに、安土城で針子として働かせてもらいながらお世話になっていた。
初めはビクビクしながら接していた武将達とも、今では家族のように気兼ねなく接することが出来ていたのだった。
そして、仕事を終え針子部屋から自室へ戻る途中、そよそよと秋風が髪を心地よく掠めると
思いきり腕を上げ背筋を伸ばすのだった。
「ふぅっ!過ごしやすい季節になってきたけど…秋ってなんか切なくもなるんだよねー……」
???「何を呆けた顔で突っ立っている」
(……?)
声のした方へゆっくりと振り返ると、安土城城主である信長を先頭に秀吉、三成が軍議のために広間へ向かうところだった。
「信長様と、秀吉さんに三成くん。今から軍議なんですね。お疲れ様です」
秀吉「おう。も針子の仕事、頑張ってるみたいだな?偉いぞ」
秀吉は優しい笑顔を浮かべ、腕を伸ばすとポンっとの頭を撫でる。
三成「様は随分と仕事熱心なのですね。様の針子としての腕前は城下でも高く評価されていますよ」
秀吉の隣で、三成はニコニコと笑顔で伝えてくる。
「そうなの?嬉しいなぁ!もっと喜んでもらえるように頑張らなくちゃ」
秀吉「こーら、頑張るのは良いことだが、あまり力入れすぎるんじゃないぞ?そんなことじゃ体調崩して倒れてしまうだろ」
???「秀吉。軍議前からお小言か?」
「光秀さん、こんにちは」
光秀「ああ。それにしても、毎度毎度お小言を聞かされていては、小娘がいつか爆発してしまうかもな」
「小娘じゃないです!」
は拗ねたように光秀をキッと睨むが、光秀の意地悪な笑みには到底敵わないのだった。
信長「光秀、小娘ではなく、じゃじゃ馬の間違いだろう」
「のっ、信長様まで!!秀吉さんに三成くん、何とか言ってよー!」
秀吉「あー、悪い。信長様の言うことは俺も思うところがあるからな…」
三成「ふふっ、様は好奇心も旺盛ですからね」
(完全に背水の陣だよね。これ…)
はガックリと肩を落とす。