第24章 最終決戦
side 璃久
弦「さぁ、愉しい遊びの時間だ。あはははははははははははははっ!!」
目の前で高らかに笑う弦真に怒りが溢れ出す。
くそっ!ふざけてやがる!何が遊びだ!あいつを傷付けておきながらふざけるな!!
握った拳に力が入り、爪はくい込んで皮膚を刺し、鈍い痛みを伝えてくる。震えに震えたそれは自分でもどうしようもなく、止められない。
抑えようと、太ももを叩こうとした時、隣から覆いかぶせるように優しく拳を握られた。
『璃久、抑えて』
「.......っ、璃咲」
握られた拳を解くと、大丈夫だというようにもう一度、優しく手を握ってくる。だけど、鋭い眼光で弦真を睨みつける璃咲はそれ以外の表情が抜け落ちていて、ただただ弦真が憎らしいと言わんばかりだった。
斬魄刀もこれまで誰にも見せて来なかった、もう一つの始解になっている。この始解になっているということは、璃咲を本気で怒らせたということだ。
『私はここであいつを斬る。みんなはすぐに霊王の元へ戻れ。そして、己が命に変えても霊王を守り通せ。それくらい、あなた達なら余裕でしょう?それと。私はここに残る以上、あなた達に命令を下せない。だから、これより後は副隊長であるあなたに指揮権を託す。話は以上。早く行って』
もう話すことは無いと言うように前を向く璃咲。その姿は彼女につけられた二つ名を彷彿とさせる。
〝最強〟にして〝最凶〟な麗人。
そして〝最麗妃〟。
彼女がなぜ、〝最麗妃〟と呼ばれるのか。
それは絶世の美女たる容姿もさる事ながら、戦っているときの彼女は何倍もの輝きを放つからだ。
まるで作り物みたいに無表情で相手を睨みつける時、微笑みながら相手を切り刻む時、彼女は一段と美しくなる。
普段は全てを優しく包み込む女神のような雰囲気なのとは裏腹に、戦いの時は、全てに慈悲を与えるような顔をして、手を伸ばされたら容赦なく叩き切る鬼のような所業。その姿すら美しいということで〝最麗妃〟といわれるようになった。
こうなったら最後、彼女から生きて逃れられるものはいない。