第17章 まさかの事態
そのとき、扉が開き、誰かが入ってきた。
(「朝からお前ら、ほんとに元気だな?」)
(有「アラ、タイチョウ。オハヨーゴザイマース。アイカワラズオソイキショウデ」)
(「悪かったって。そんな怒んなよ」)
隊長?ボサボサの頭に、シワのよった死覇装。髭だらけの顔。見るからにやる気のなさそうな目。この人が本当に〝王族特務零番隊〟の隊長?
全く信じられない。
(「ん?お前が今日からうちの六席になった奴か。俺が隊長の黒霧 弦真だ。よろしくな」)
(『土御門 璃咲、です。よろしくお願いします』)
(弦「おうっ」)
隊長はさっきの宗次郎よりも強い力で私の頭をがしゃがしゃと乱暴に撫でた。
(『イタタタタっ』)
(弦「あはははっ、痛いだろ」)
弦真は手の動きを止め、頭に置いたまま、目線を合わせてきた。
(弦「零番隊へようこそ、璃咲。歓迎するぜ」)
(『......っ、はいっ!!』)
そうだった。この人たちと出会って、初めて人前で作らない笑顔を浮かべることが出来るようになったっけ?