第16章 斬魄刀異聞
『.........』
「璃咲」
『璃久、来てたの。みんなは無事?』
「あぁ」
『そっか』
最後まで斬魄刀の誇りを守り、消えていった村正。
したことは決して許されない。だけど、主を救いたいという一心で起こした騒動を起こした。
『嫌いじゃないな...』
「何がだ?」
『ないしょっ』
納得できなさそうに不満げな璃久に思わず笑った。
ポツンっ
おでこに突然何か冷たいものが当たった。
『冷たっ』
「雨か」
突然降り出した雨は、まるで何かに解放されたようだった。
「なんか変な感じだな」
『暖かくて、優しい雨だね』
目をつぶってただ雨に打たれていると、斬魄刀に赤が戻ってきたのがわかった。
『おかえり』
斬魄刀を一撫でする。
「帰るぞ」
『うん』
雨はまるで涙するようにしばらく降り続いていた。