第2章 〜 再会、新しい出会い 〜
✾ 夏川side ✾
自己紹介のあとにプリンスからの連絡で解散になった。
部活見学に行くため、荷物をまとめていると葵ちゃんが話しかけてきてくれた。
葵「夏川くん、演劇部に入るんだね!」
夏川「うん。 昔っていうか今もなんだけど憧れてる人がいてさ。 その人の背中を追いかけたいんだ」
目の前にいる彼女の演技をしている姿を頭に浮かべながら言う。
葵「そうなんだ。 かっこいいね! 演技はすごく楽しいよ! 自分と違う人になれるから。 いろんな視点から物事を見れるようになるし!」
そう言う葵ちゃんは昔のことを思い出しているのかすごく楽しそうに話している。
それぐらい演技が大好きなんだろうな……
もし、俺がお願いしたら彼女はしてくれるのだろうか………
って、何考えてんだ俺!
テレビにでなくなったのにもなにか理由があるはずなのに!!
俺の馬鹿野郎!!!!
葵「夏川くん? どうしたの? 大丈夫?」
ずっと黙っていることを不思議に思ったのか声をかけてくれた。
夏川「あ、うん! 大丈夫! ごめんね! けど、教えてくれてありがとな! 今年から初めてすることだし実を言うと緊張してたけど、それ聞いたらわくわくしてきた!」
そう言うと彼女は安心した表情を見せて「うん!」と言った。
葵「確かに、初めてのことって少し怖いよね。 不安もあるし… けどね、やってみると不安は自然と全部なくなるよ? 私もそうだったもん」
………ん?
今……え………?
彼女の顔を見るとハテナを浮かべ頭を傾げる。
気づいてないのか?
夏川「そ、そっか! そうだな! 勇気出してやってみるよ! ありがとう! じゃ、また明日な!」
葵「あ、うん! 引き止めちゃってごめんね、また明日!」
そう交わして教室を出る
さっき『私も』って言ったよな?
隠してる訳じゃいないのか?
本人気づいてないみたいだったし、ポロッと出ちゃったとか?
流したけど流してよかったんだよな?
俺は不安になりながら、演劇部の部室に向かった。