第6章 休むって大切なこと【キラR15?】
「ん……38.9℃」
口に加えていた体温計を取り出し、不服そうに結果を言うと、は何か訴えるように僕を見つめてきた。
「……そんな顔しても、ダメだからね?」
「だって……」
明日はにとって大事な日。
新しい環境の初日だ。
「だってじゃないよ。そんな状態で行くなんて、無理だよ?」
「でも、明日は休めないよ……っ!」
興奮しながら話す度、苦しそうにセキをする。
そんな状態じゃ、行けるわけないじゃないか。
「そんな状態で行って、満足いかないまま時間をやり過ごして、それでいいの?」
「…………」
「やりたいこと、夢があって、今の道を選んだんでしょ?」
ちょっときつい言い方かもしれないけど、のためでもあるんだよ。
ただなんとなく過ごして、最後には何も残らない。
あるのは、空虚感だけ。
そんな思い、にはしてほしくないんだ。
「焦る気持ちはわかるけど、今日はゆっくり休んで、明日に備えなくちゃ…」
「……うん」
熱のせいか、涙目でうなずく。
言い過ぎたよね、ごめん。
「明日、が元気に行けるよう、看病してあげるからさ」
「うん」
ようやくも納得したらしく、その日は一日中大人しくしていた。