第18章 彼女の選択※キラ夢
「オーブ内に潜伏中のテロ集団の殲滅」
それが、今回の任務だったはず。
なのに。
テロ集団が潜んでいる居住施設を攻撃すれば、目を疑うようなものが目に飛び込んできた。
「フリーダムっ!?」
先の大戦で数々の逸話を残した、伝説の機体。
X-10Aフリーダムだ。
何故ここにあの機体がいるの?
だって相手はテロリストのはずなのに。
「なんで……」
わからないことだらけで頭が混乱してる。
何とかしなきゃいけないのに、こうしてる間にも仲間の機体がフリーダムによって次々と戦闘不能にされていく。
「わかんない……けどっ!」
ここでやられるわけにはいかない。
「……っ」
操縦幹を握り直し、フリーダムへと向かう。
突破して、ひとまず態勢を立て直せばいい。
きっと、情報が違ってたんだ。
きっとそうに違いない。
「く……っいくらこの機体でも無理か……」
次々と撃たれるライフルを必死でかわそうとしても、機体の反応速度が遅すぎる。
機体の性能が違いすぎるのだ。
そして――
「隊長っ!?」
作戦失敗と判断したのか、隊長機が突如自爆し、大破した。
それと同時に、コックピット内に警報が鳴り始める。
「なに?」
『自爆連動システム作動。40秒後に自爆します。』
信じ難いアナウンスが入った。
「……え?」
『自爆連動システム作動。35秒後に自爆します。』
無機質な声のアナウンスが響く。
「自爆……?」
機密漏洩防止の為、任務中に隊長機が自爆すれば、全機体の自爆連動システムが作動する。
隊長機の自爆は、『任務失敗』を意味しているはず。
「失敗なの?」
もしかして最初から、フリーダムの破壊が任務だったの?
でも、何のために?
『自爆連動システム作動。25秒後に自爆します。』
このまま私、死ななきゃならないの?
機密を守るために?
「あ……」
浜辺で出会った彼の顔が脳裏に浮かび、胸元の認識票に手を当てる。
考えてる場合じゃない。
認識票を強く握り締め、自分に言い聞かせた。
「私、まだ死ねない……」
そして、緊急脱出用のレバーを強く引き上げた。
『自爆連動システム作動。自爆します。』
最後に聞いたのは、警報音と、爆音。
目の前で、私の機体は自爆した。
他の機体と同じように――