第14章 Master★【キラR18】
「…ぅ、ん……」
すぐ横でカタカタとする物音のせいで、目覚めは最悪。
それに拍車をかけるような身体のだるさ。
でも、今日も仕事がたくさんある。
だるさを振り払うように体を起こすと、そこは見慣れない部屋だった。
(私の部屋…じゃない?)
「おはよう……」
困惑している私の耳に響く、キラ様の声。
「キ…ラ様?」
最初はなんでかわからなかったけど、しばらくして頭の中に昨日の出来事が蘇ってきた。
(私…あのまま寝ちゃったんだ…)
不思議と後悔はなかった。
罪悪感くらいは感じていいはずなのに。
そして、ふとベッド脇の時計に目をやると、それは私を一気に現実に引き戻してくれた。
「……!?カガリ様は!?」
大変だ、この時間はカガリ様を起こしにいく時間なのに。
「落ち着いて…、カガリにはちゃんと言ってあるから……」
「ぇ!?なにを、えぇ…っ!?」
身体を起こせば、私は裸のままだった。
キラ様はちゃっかり正装からいつもの服装に着替えているのに、私だけ裸。
半分パニック気味の私に、キラ様は笑顔のままで私を見つめていた。
「、昨夜は……ごめん」
「ぇ…」
途端に神妙な顔になるキラ様。
なんでメイドなんかの私に謝ってるんだろう?
「その……無理矢理君にあんなこと…」
「ぃえ…いいんです。私も、いけなかったんですから…」
もっと私の気が利いていれば『夜伽』と割り切ってキラ様に尽くしてたかもしれない。
なのに抵抗して、けど最後には受け入れていて。
それに、内心では嬉しかった。
(たとえ、キラ様のお戯れだったとしても…)
「私、今日限りでここを辞めます…」
「…っ」
昨日ことでわかっちゃったんだもの。
自分が今するべきことがなんなのか。