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イケメン戦国 ~天下人の妹になる気はないか~

第2章 はじまり







この世界に住む不思議な生き物、動物図鑑には載っていない、『ポケットモンスター』、縮めて『ポケモン』。



この物語は、異世界で家族が出来た少女の冒険と、その過去を見つめ直すストーリーである。














深く、暗い森の中。

小さな白い何かが必死に走っていた。
時たま、体力が余り無いのか立ち止まったり、石に躓いて転んだり。
再び躓いた白い何かが地面に倒れた時だった。

「おい、いたか?」
「いや、駄目だ」
「まだ遠くに行ってない筈だ」
「早く見つけねぇと、【アレ】が人里に行ったら俺達は終わりだ」
「国際警察も動き出してる」
「急ぐぞ、グラエナ、探せ!」

数人分の足音と声、そして何匹ものグラエナの気配。

(はやく、にげなきゃ...)

気付かれないよう、静かに起きあがり、そっとその場を離れる白。
しかし、

パキッ

小さな足が小枝を踏みつけた。

「ヴゥ...」
「ガウ!」
「今の音は?」
「いたぞ、あっちだ!」
「追え、グラエナ!」
(?!)

白に気付いた男達とグラエナの群れが音のした方向へ走り出す。













(どうしょ...)

白は崖っぷちに追い詰められていた。
周りにはグラエナ達と数人の人相の悪そうな男達。

「もう、逃げられないぜ」
「逃げた分と研究所を壊した分、それから何人か氷付けにしてくれた分、たっぷりとお仕置きしてやるよ」

下卑た笑いを浮かべる男達。その手にはスタンガンが握られており、時折バチバチと音をたてる。

(だぇか...たすけて...)

鋭い牙に炎を宿したグラエナ達が白に飛びかかろうとしたその時だった。

「ピカチュウ、十万ボルト」
「キャン?!」
「ガウ?!」

冷静な指示と共に、黄色い電撃がグラエナ達を襲った。

「な、何だ一体?!」
「てめえ誰だ!?」

木の陰から出てきたのは白衣を着た青年。肩にはピカチュウを乗せている。

「怯えている女の子一人に大の大人数人とポケモンとは、どうかと思いますが」

青年は表情を変えず、眼鏡のブリッジをあげながら言った。
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