第2章 殺風景な部屋
殺風景な部屋だ。
なのに増えたのは見知らぬ少女。
教員免許を取って何年も経つがここまでの不祥事を起こしたことはないだろう。
制服を身に纏っていてもいい年齢だ。
それなのに、どういうわけであんなところにいたのか。
聞きたいことは山ほどあるが、さすがに目のやり場に困る。
あまり持っていない服を着せ、貰った鍵で枷を外してやる。
すっかり手首には赤い痕が痛々しく残っている。
「……」
やってしまった。
後悔が更に押し寄せる。
まずコイツだけで給料が吹き飛んだというのに、更に身の回りの物も用意しなくてはならないのではないか、ということに今更気付いた。
「報酬……」
面倒だがパソコンを開き、報告書を書き上げ添付した。
とりあえず、案件の報酬が明日にでも入る。
これならなんとかなるだろう。
ふう、と息を吐いた。
未だ、一言しか彼女の声を聞いていない。
「名前くらいあんのか?」
「…」
「……なるほど。年はわかるか?」
「……わからない」
時間の経過でどのぐらい捕まっていたのかはわからない。
との回答で間違いないだろう。
もしかしたら数年ホルマリンにいた、という恐れすらある。
「……っ」
「疲れたな、悪かった…。
なんにもないとこだが、寝てくれ」
今にも泣き出しそうな顔をされ、とりあえずはと頭を撫でてやる。
虚しいシングルベッドに案内し、自分はいつもの寝袋に入った。
考えることが多すぎる。
今後どうしたらいいか。
入れる施設はあるか。
そもそも戸籍はあるのかないのか。
なんの経緯で拐われたのかも気になる。
身辺調査と買い出し……。