第49章 【死柄木編】濁流の片隅
ごぽりと音をたてて後からねっとりとしたモノが零れていく。
ただそれを、天井を見上げながら感じることしか出来ない。
好きな人を裏切った罪悪感と、それでも死ねなかった絶望感と。
水をかけられ、冷たさに現実に引き戻される。
「何、ぼーっとしてんの」
前髪を鷲掴みにされ、無理やり顔を合わせられる。
痛みで眉が寄る。
「壊れるまで遊んであげるよ」
よかったね、とくすくすと笑われる。
怖いはずなのに、余韻のせいで敏感すぎる身体が疼いた。
どうせ、もう、会えないなら。
会っても罪悪感で死んでしまいそうだから。
このまま……。
「いい子だねぇ」
「あ!あぅ、あっ、あ!」
後ろから奥深く擦られて、目の前に火花が散った。
「い、っ、いくっ、いく、いく…っ!!」
震えが止まらないまま、また意識が飛び、そして無理やり抉られては戻される。
「…っ!!ぁあああああ!!!!」
汚れた布に水溜まりが出来る。
お腹がじくじくと熱い。
どうか飽きたらこのまま死なせて欲しいと、意識のあるうちに言えただろうか。