第48章 【番外編】なんとかオリジナル
平日の午後。
春休みに向けて日差しが暖かくなってきた。
最後の授業を受けて寮に戻ると、談話室に珍しく先生がいた。
ざわざわとヒーロー科の子達に囲まれていて、近付ける雰囲気ではなさそうだった。
この前大きな事件を扱って大変だった、なんていう話をしていたからその事で集まってるのだろうか。
いてはいけない気がして、見つからないように部屋に戻ろうとした。
「」
「は、はい!?」
名前を呼ばれて思わず振り返った。
普段あまり他の生徒がいる時は一緒にいないようにしてたから。
嬉しさ半分、困惑半分で大分間抜けな顔をしていたと思う。
あんぐり開けた口に、一粒、甘いものが入ってきた。
「むぐ…!」
(あ、飴……?)
強い甘さと、ほんのり苦い、キャラメル味の飴だった。
鼻にかすかにバターのような、濃厚なクリーミーさが通る。
「特別な存在に送る飴だそうだ」
「…っ!!!?」
「お返し、というやつだ」
「……あ……」
ホワイトデー……。
先生は、用は済んだから、と寮を颯爽と出ていった。
部屋につくと、同じキャンディが机に沢山置いてあった。
困惑したけど、お返しってやっぱり嬉しい……。
でも先生、このキャンディ、
確か、おじいちゃんが孫にあげる話じゃありませんでした……?