第48章 【番外編】なんとかオリジナル
先生が珍しく、夜に職員寮まで来るようにと言ってきた。
約束はしたけど、何を言われるかわからなくて緊張でソワソワする。
玄関の戸を叩くと、普段着も真っ黒な先生が中に入れてくれた。
「コーヒーでいいか?」
「は、はい!」
緊張しすぎてすごい大声で返事してしまった。
電気ケトルのお湯の作る音が静かな部屋に響く。
今更渡すのもなんだし、と思ってしまった。
せっかくのイベントごとなのに心から楽しめなかったことを落ち込む。
いつものぬるいカフェオレが出てきて、緊張が少しだけ和らいだ。
「なんで避けるんだ?」
「!!?」
(さけ……?)
「何か気にくわないことでもしたか?」
先生は凄く真剣に聞いているようだった。
そして、当のイベントにはまるで気付いていないようだった。
「さ、避けてません!」
実際問題、避けているようなことはしていないが、無意識に気まずくて会わないようにしていたのはある。
なんて言ったら良いものか、少しだけ首を捻って考えた。
「この前からなんなんだ。
目線も合わせない、部屋にいても知らん振り、校内でも珍しく昼休憩にすら来ない」
「…っ!!」
いつもの私がしている行動を何一つしていない。
これは怪しまれても仕方がない。
ドキドキと心臓がうるさい。
もう言うしかない、と鞄に忍ばせた小さな紙袋を突き出した。
「これ!!!!!」
「っ!?」