第41章 【番外編】不安2
電気を消したままだというのに、彼女の表情が手に取るようにわかる。
緊張していてたまに強ばる顔、苦しそうに、しかし悦に入るような顔。
頭に焼き付いて離れないかのようだ。
「寒いか?」
毛布を手繰り寄せるように指が動いた。
「…っ、すこし…」
全て脱がせてしまったのは、この気温ではよくなかったかもしれないと、自分の行動を反省した。
外気に触れた肌は冷たいが、高揚した身体はやはり熱い。
暖房は入っている。
それでも気温差に触れればひんやりと感じる。
「先生、ケーキ、溶けちゃう…」
「ああ、後で食う」
「せめて、冷蔵庫…」
「すぐ、終わらせる」
「…っ、そう言って、いっつも…っ」
「いつも、なんだ?」
続きはわかっていた。
いつも付き合わせて夜中か日の昇る時間を迎えてしまう。
歯止めがきかなくなる。
こんないたいけな少女につけこんで、自分は嫌な大人になったものだと呆れてしまった。
「なら今食うか」
照明の置いてある小さなデスクにケーキを移した。
少しずつ、熱気でクリームが溶けてきてしまっていた。
「え!?で、でも、フォークとか……」
「いらない」