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【ヒロアカ】コスミックロジカル【裏】

第39章 【飯田編】彼女だけの


その疑問の解答は、あまりにもあっさりと出てしまう。
彼女に怪我はないかと救急箱を渡しに部屋をノックした。
華やかな笑顔だったが、自分の顔を見て驚いた。
「あ、えっと、飯田くん…?」
「ああ、怪我とかしていないか?」
「さっきの見てたんだっけ?
心配してくれてありがとう」
にっこりと微笑まれ、自分は大丈夫だと返事された。
気まずさにどう返したらいいかわからない。
「君はよく狙われる…今後も単独行動は控えたまえ」
「あ、そうだね…。
ごめんね、私ちょっと特殊だから……。
なんかあったら、飯田くんにも相談していいかな?」
「!!!」
どくんと、心臓が脈打つ。
胸が少し痛い。
「ああ、出来ることがあれば…!」
彼女は自分にとって、少し特別だと思えたのはこの瞬間だった。
今も鮮明にそれを覚えている。
しかし、彼女は嬉しそうに、俺の後ろを見上げる。
「先生っ!」
「え?」
振り返ると、物凄い冷たい視線で見下ろすその人がいた。
「」
(なんだ、今の気迫…)
前に自分が見えなくなったとき、あの顔で怒られたことがあるのをふと思い出した。
命の危険に晒された自分を、親身に、かつ冷静に叱られた。
その時の気迫。
ただ、彼女の名は、そよ風のように優しく呟く。
「あ、ごめんね、飯田くん。
私、学校の授業遅れてるから手伝って貰ってて……」
(あっ)
彼女の柔らかい雰囲気と、一瞬にして冷気がなくなった先生の印象。
すぐにわかる。
ただの関係ではないと。
仲睦まじい、とすら思わせるそのぎりぎり表面化していない空気。
なんとなく、察してはいけなかったのだと、落ち込んだ。

そして、あの時感じたことに納得する。
あの瞬間、彼は確かに、彼女だけのヒーローだった。
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