• テキストサイズ

【ヒロアカ】コスミックロジカル【裏】

第35章 【番外編】恋人ごっこ3


先生はいつでもそういうことは、素っ気なく言う。
私ももっと普通でいたかったのに。
ずきずきとその言葉が刺さってぎゅっと自分の手を握る。
帰ってもまともに顔が見れなくて、泣きそうで、買ってきて貰ったご飯もほとんど食べられない。

「……まだ何かあるのか?」
痺れを切らした先生は、イライラしながらそう聞く。
怒らせたかった訳じゃない。
違う。
でも、何も言えなくて、先生の顔を見上げる。
「悪いが低学年の子供を見るのは得意じゃない」
はっとして、また落ち込む。
なんて物の言い方だろうと。
「……ひどい」
やっと絞りでた唯一の言葉だった。
そのまま自分の部屋に戻ろうとしたところで、玄関で柔らかく取り押さえられる。
「……っ」
後ろからぎゅってされて、落ち着くにおいがふわっとして、やっとそこで気がついた。
「ちゃんと、言え。
纏まるまで、待っててやるから」
「…!」
とうとう涙が溢れて、振り向いて私も腕を回す。
「せんせい!!
だって、先生、最初から無理してるって…」
さっきの会話を思い出し、先生が気まずそうに頭を撫でてくれる。
「最初から、無理なのは覚悟してる…」
「……あ…」
省かれた台詞の内容を確認して、今度は嬉しくて涙が溢れる。


「先生、今日、すごく楽しかったんです」
「そうか」
大きな手が私の手を包んでくれて、温かくて幸せになる。
「明日まで、恋人ですね」
「ずっとだろ」
「……?
今、え、何…?」
「お休み」
「……先生?」
ぱっと手を離されて、先生は私に背中を向けて眠る。
その日はドキドキしすぎて、ほとんど眠れなかった。
/ 281ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp