第20章 くる
「無事でよかった」
「……はい」
先生に会っても、全然安心が出来ないままだった。
ずっと、怖いのが付きまとっている。
小さい頃に、テレビでやっていたお化けの特集を見て、夜眠れなくなった時のことを思い出す。
それに、すごく似てる。
「何かされたか?」
「……首、絞められて…。
あと、涙……涙の話を、されました」
「涙」
「私の涙は、なんでも出来るって……よくわからないですけど……」
先生がそのあと色々何かを言ってきたけど、ほとんど覚えていない。
ぼんやりとしたまま、この、なんとも言えない恐怖を抑え込みながら、ベッドの上で布団にくるまって震えた。
涙……?
何かが、くる。