第1章 はじまり
テヒョン「ヒョン!」
ジミン「ボートに乗って下さい!」
ボートで救出に来たマンネ達に
声を掛けられるも、放心状態なホソク。
ナムジュンは平常心を装うも頭の中は
パニック状態だった。
ホソク「……」
反応が無く、ジミンとテヒョンが
ホソクを引き上げボートに乗せた。
グクはナムジュンがボートに乗るのを
手伝っていた。
グク「ヒョン?」
ホソク「…助けれなかったんだ」
震える声で言い終わると、唇を
血が滲むくらい無意識に強く噛んでいた
ナムジュン「ユンギヒョン…ジニヒョン…」
溢れ出る涙が膝の上の強く握り締めた
拳の上へと零れ落ちた。
グク「!、そんな……」
ジミン「ヒョン達が…」
テヒョン「…ヒョン……」
気付けば、嵐は過ぎ去り波の音だけが
静かに響き渡っていた
テヒョン「…?」
キョロキョロと辺りを見回すテヒョン
ジミン「急に、どうしたの?」
テヒョン「今、確かに声が…」
グク「…ヒョン、こんな時に冗談は…」
テヒョン「冗談じゃないんだ!」
「………ぅ…」
グク「…!」
ジミン「!聞こえた」
テヒョン「静かに!」
ナムジュン「……」
「……ぅ……ゔ…」
ホソク「ヒョン!!!」
声の正体、それは木箱に掴まり
息も絶え絶えなジンだった
執事「王子様がいたぞ!ボートを近くへ」
クルー達がボートでジンの救出に向かい
ジンを海から引き上げた
グク「ヒョン、あぁ…生きてた」
ジミン「うん!良かった…」
安堵の涙が頬を伝っていた
ホソク「……良、かった…!」
ボロボロと泣き出すホソクを
ナムジュンが背中を擦る
テヒョン「……」
ジミン「テヒョナ、また声がするの?」
グク「ユンギヒョンの声ですか!?」
キョロキョロと、また辺りを見回す
耳の良いテヒョンに期待するしかなかった
何せ、この暗い海の上でランプが
ボートに一つずつしか無い
あのジンの小さな声は波の音に揉み消せれる
真剣な顔をしていたテヒョンが
少し眉毛を下げ、悲しそうな顔をした
テヒョン「……聴こえない。」
ナムジュン「ユンギヒョン……」
グク「ジニヒョンの容体が悪化する前に
一度ここを離れ、城に戻りませんか?」
全員がグクの言葉に渋々、頭を縦に振った