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ゆるやかな速度で

第8章 6.変化


「【名前】はGWの合宿は親御さん問題あらへんか?」
「多分…いつも通りだとGWも仕事だと思うから。おばあちゃんはむしろ歓迎してくれると思う」

私がそう答えると白石くんは少し驚いた表情を私に向ける。
そう言えば両親の事を話した事は無かったなと、ふと思い出す。
自分から両親の仕事の内容を話したのは綾子ちゃんぐらいかな?と思い出していると白石くんは話題を変える。

「とりあえずGWも宜しくな?」
「うん」

きっと先日家に来た時の事を思い出して詮索しない様に気遣ってくれたのだろう。
白石くんになら話すことも別に問題ないかなとは思ったけれど中々に両親の仕事内容を詳しく話す機会なんて訪れないかな?とも思う。
自慢の両親ではあったけれど両親の職業に関して自慢するのは何だかおかしい気がしたからだ。

そんな事を考えていると、ふと白石くんの視線が彷徨うのに気が付いた。
何かおかしな事を言ってしまっただろうか?と、彼の彷徨わせた視線を何となく追っていると彼とパチリと視線が合う。
何を言われるのだろうと少しだけ身構えると私の予想とは違って彼の手が私の頭をポンっと軽く触れるように叩く。

「え」

驚いて声を上げれば、白石くんは気恥ずかしそうに苦笑していた。

「いや…千歳が触っとったから…」
「あ。千歳くんの妹さんに似てるって言ってて…それで」
「ミユキちゃんに?」

先程、千歳くんが話していた事を素直に告げると白石くんが少し考え込んでから小さく『さよか』と返事をする。
その声を聞いてから私はよく考えれば自身の頭を軽く励ますように白石くんに触れられたのだと気が付いて顔が一気に熱くなるのを感じた。
白石くんは結構スキンシップが激しい所でもあるのだろうか?なんて考えながら私は自身の熱くなった頬をどうにかしなければと必死に彼の前で考えていたのだった。


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