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ゆるやかな速度で

第7章 5.始動


私が黙っていると遥斗が「姉ちゃん?」と不思議そうに話しかける。
「夕飯の事を考えてたの」と答えると先ほどの事を思い出したのか白石くんが吹き出していた。
私は返事の仕方を間違えたなと自分の頬が熱くなるのを感じる。
でも、白石くんが笑ってくれたのならそれは良かったのかなと思った。

「白石、どうしたん?」
「す…すまん、気にせんといて」

先程の事件を知らない遥斗は白石くんが肩を震わせて笑っているのを不思議そうに見ていた。
先程の話をしてしまえば遥斗は納得するのに、私の失態を言わないでくれる優しさで私の胸が温かくなるのを感じた。

暫く白石くんのツボに入っていた様で笑いが収まらず3人でその場に立ち止まっていたが、彼が落ち着いてから気を取り直して歩き出す。
3人で他愛も無い話で盛り上がりながら帰る道のりはとても楽しい時間だった。
私は暫くこんな時間が続けば良いなと思いながら家へと向かったのだった。


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