第3章 2.不思議な人
「…こんな感じかな?」
誰に聞かせるわけでもないが、自然と口から独り言が溢れる。
おばあちゃんの部屋の窓を開けたり、縁側がある方の戸を開けたりと空気が入れ替わる様にしてから部屋の掃除を済ませる。
思っていた通り、部屋の掃除は基本的に行き届いているので、念入りに掃除する必要は無かった。
それでもどうしても軽くホコリ等はついてしまうので、それらを簡単に掃除をしたのと、布団や座布団なんかを天日干しするぐらいだった。
直ぐに掃除も片付いてしまい、私はおばあちゃんの部屋から直ぐに繋がっている縁側へと腰を掛ける。
耳を済ませると、遥斗たちのいる方の庭から、微かな喋り声が聞こえる。
遥斗が楽しそうにしていて良かったと私は心の底から白石くんに感謝した。
そう言えば先程の私は自然に白石くんと会話が出来ていたなと思った。
遥斗のおかげだろうか?
綾子ちゃんや、遥斗とはスムーズに会話が出来るので、間に入ってもらうと誰とでも私も会話出来るのだろうか…?と思ったがそれは違うと気付く。
学校で今までも度々、綾子ちゃんにフォローして貰っているが、あそこまでスムーズに話せた記憶はない。
白石くんだけなんだと思うと、やっぱり彼は不思議な人だと思った。
どうして白石くんだけが今のところ平気なのか私には分からなかった。
優しく微笑んでくれる白石くんが、ふと脳裏をよぎり私の心臓がドキリと跳ねる。
ふわっと優しく微笑んでくれる表情は私の緊張を解きほぐしてくれる様で酷く安心したのを覚えている。
「焦らなくてもええんやで」とでもまるで言ってくれてる様な表情で、話さなくちゃといつも焦ってしまう私を落ち着かせてくれる。