第14章 12.羨望
「最近、天気がめちゃくちゃだと思わへん?」
昼休みに教室で綾子ちゃんとご飯を食べていると彼女にそう言われて私は大きく頷いた。
あの夏日の様な日から今日で数日過ぎていた。
ただあの日以降、天候が安定せずに、夏日の様な日と、例年通りの気温の日と、天候が荒れて雨で肌寒い日と…と毎日混乱してしまう程の天気の荒れ具合に私も参っていた。
朝練をしているテニス部の人たちもで、日に日に調子があまり良くなさそうな人が増えているように思えていた。
それでもレギュラー陣は体調管理もお手の物なのか、比較的に具合があまり悪くは見えなかった。
ふと、レギュラー陣の事を思い出して、視線を教室内にいる白石くんと忍足くんへと向ける。
2人とも今日は教室で喋りながら昼食を取っていて、いつも通りに談笑していた。
顔色もあまり悪くなさそうで、体調管理も上手いのだなと思っていると、教室の入り口にいる男子生徒が大きな声を出して白石くんを呼ぶ。
「白石~、1年生の子が呼んどるで~!」
遠慮のない声量に教室の空気が一瞬固まったように思えた。
急に呼ばれた白石くんは『なんやろ?』と不思議そうに呟いてから教室の入り口の方へと歩き出す。
私は、ふと白石くんを呼んだ子が気になってしまい視線を教室の入り口へと向ける。
するとそこには一目で人を惹きつける様な美貌の美少女が立っていた。
話した事もないのに、どこかで見た気がして記憶を手繰り寄せると、先日白石くんがお姫様抱っこしていた子に似ているなと思い出す。
あの時の子と思われる子が白石くんに何の用事なのだろうか?先日のお礼かな?と思っていると、別の方向から声が聞こえてくる。