• テキストサイズ

ゆるやかな速度で

第11章 9.合宿03



遠い昔の…こちらに引っ越してくる前の学校での出来事だ。
詳細まではもう覚えていないけれど、私の不注意で私を助けようとしてくれた彼まで一緒にちょっとした段差になっていた所を一緒に転げ落ちてしまったのは覚えている。
私をかばってくれた彼は私を守りきれなくて悪りぃという言葉を漏らしていた様な気がする。
けど、この時の私は私のせいで怪我をさせてしまっただけでなく、足をひねってしまい歩けない私を怪我した彼におぶらせてしまった事が申し訳なくて泣き止むことが出来なかったのだ。
そんな私の気持ちを察してか、必死に『大丈夫だから』を繰り返してくれた彼は最後までその言葉で私を慰め続けてくれた。
ここまであの時の事を思い出せるのに、この優しい彼の名前も思い出せなくなってしまっている事はとても申し訳なく思えた。
こちらに引っ越してきてから色々とあったから昔を思い出すことも意図的に避けてしまっていた私は今はもう彼の名前を思い出すことも出来ないでいた。
この彼は今どこで何をしているのだろうか…と思う。
あの学校は私立のエスカレーター式だったから、もしかしたらまだあの学校にいるのかもしれない。
あぁ、あの時の彼は元気だろうか。
名も思い出せないなんて心残りだな…と久しぶりにあの頃の友人の1人であった彼との出来事を夢の中で思い出して申し訳なく思ったのだった――。

***
/ 166ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp