第10章 8.合宿02
「はぁ……やっと道に出たんか」
驚きのあまりに私も白石くんも無言でいると、金太郎くんの後ろから財前くんがウンザリした表情で茂みから出てくる。
彼のジャージや髪には葉っぱがたくさんくっついていて、しかも普段より更に不機嫌そうな表情な財前くんが立っていた。
そして彼はこちらを見た瞬間に少し驚いた様に目を見開いてから、言いづらそうな表情で言葉を私達にかける。
「あの…邪魔したみたいで、すんません」
「え」
財前くんの言葉の意味が分からず私は呆けてしまう。
それは白石くんも同じだった様で二人で顔を見合わせる。
顔を見合わせてからあまりに白石くんと私の距離が近いなと気付き、そして財前くんの言葉が再度脳内で再生された事により私が今現在白石くんの背にしがみついている様な状況だと思い出す。
「ご、ごめんなさい!」
驚きのあまりに大声を出してしまいながら私は謝罪をして白石くんのジャージを掴んでいた手を離して、慌てて体も彼から離れた。
そう、離れたのだけれども、それはほんの少しだけの距離で私と白石くんの距離はおよそ15cm程度だったと思う。
普段よりも私と白石くんの近い距離に金太郎くんは何かを勘違いしてしまったのかキラキラとした瞳を輝かせてこちらへと駆けてきたのだった――。
「白石と【名前】、なんでそんなにくっついとるん?ワイも混ぜてや!」
「――っ」
「【名前】!?」
急に脇から私に駆け寄り抱きつく金太郎くんに咄嗟の対応を取ることが出来ず、私は金太郎くんの飛びついてきた衝撃と共に横に倒れ込む。
私が視界から横に消えていくのに驚いた白石くんの声が聞こえる。
そして咄嗟の事で金太郎くんを支えきれずに私は地面にぶつかる衝撃と、金太郎くんが乗っかっている重みに私は顔を歪めていた。
「金ちゃん!」
「わ!?【名前】、すまん!」
白石くんの怒った声に驚いた金太郎くんが慌てて私から飛び上がるように立ち上がる。
彼が乗っていた自身の体が少しだけ軽くなったのが分かった。