第10章 8.合宿02
集合をかけられて集まれば先生と白石くんが皆の前にいて今回のレクレーションの内容を丁寧に説明してくれる。
話を聞いて思ったのは、簡易的な肝試しという事だった。
先生達の後ろに広がる森のには、分かりにくいけれどもちょっとした小道があるようで、その小道にそって歩くとグルっと森の中を一周して、同じ場所へと帰ってこれるらしい。
その小道を二人組で歩いて帰ってくるだけの簡単なものだと言っていた。
その話を聞いて脅かす役やら、定番の御札を置いてくるなんかはどうするのかという質問に対して先生はキッパリと『そこまでする予算ないわ!』と明るく告げる。
それを聞いて盛大にコケる人や、文句をいう人なんかを白石くんが『まぁまぁ』と言いながら宥めていく。
「確かになんもあらへんけど、下見で見た感じ結構暗かったし、熊も出るらしいで?」
「熊とか逆に怖いわ!」
白石くんの言葉にチーム全体に不安感がよぎる。
けれどもそれは予測していた事だったようで、白石くんが『人数分の鈴はあるからちゃーんとクジと一緒に持ってってな』と付け加えると、皆は『しゃあないな…』という言葉を漏らすだけで場が収まる。
白石くんの言葉で皆も肝試しをやる気になった様で簡単な諸注意を彼が告げると渡邉先生がクジの箱を持って『ほれ、引いてけやー』と気の抜けた声音で皆に告げたのだった。
「ほい、【名字】も」
皆が渡邉先生の持つ番号の入った箱から紙を引いているのをボーッと投げめていると、いつの間にか大体の生徒が引き終わっていた様で私のところへと先生がわざわざ来てくれて声をかけてくれる。
ボーッとし過ぎていて列に並べていなかった為に先生に手間を取らせてしまった事に対して謝罪を述べてから、差し出された箱に手を入れる。
先に引いている人もいるので紙の数は半分以上減っている様だ。
私が紙を引いたのを見た先生は『無くさんといてなー』と告げてから鈴を私に渡してから、列に並んでいなかったであろう他の部員の所へと歩いていく。
先生の言葉通りに無くさないようにと私は鈴をジャージのズボンのポッケへとしまったのだった。