第10章 8.合宿02
翌朝起きてから当番になっていた小石川くんと一緒にお弁当の配膳をして、それからはまた前に頼まれたスコアをつける作業や、ボールの確認やコート場に不備がないかどうかの確認をしていく。
そして、ドリンクを作るのを手伝ったりと1年生で当番になっている人と一緒に作業をして過ごした。
野宮くんと一緒になる事もあり、彼とは先日会話した事もあったので他の後輩の子よりもスムーズに話すことが出来てとても有難く思った。
それらをこなしていると、あっという間に合宿の時間が過ぎていったのだった。
夜になり昨夜、渡邉先生が言っていたレクリエーションの時間になる。
先生に連れられてやってきた場所は宿からそんなには離れていない森になっている場所だった。
街灯がない場所なので、各自懐中電灯を手には持っていた。
合宿の持ち物一覧に懐中電灯があった理由を私は今ここでようやく理解出来たのだった。
寒いという程ではないけれど、静かな夜の森にふく風は少し肌寒く感じた。
しっかりと着込んできて正解だったなと思いながら私は皆がワイワイしている方を少しだけ輪から離れた場所で見ていた。
お笑いが大好きな四天宝寺の生徒なだけあって皆こういうレクリエーションが好きなのだろう。
先生の『準備が整うまで適当に待ってろ~』という言葉を聞いて、ワイワイと隣にいる人同士で皆は好きに盛り上がっている。
彼らの楽しそうな姿が、微笑ましくて自然と口元が緩んでしまっていた。
「あら、【名前】ちゃん何かええことでもあった?」
私が輪から外れていた場所にいた私の方へといつの間にかやってきていた小春くんに話しかけられて私は驚いてしまう。
いつの間にこちらへと来ていたのだろうか?
でも、それだけ私が皆が固まっている場所を見ていて周りを見ていなかっただけなのだと思った。