第18章 忘れたステージ
そのMVが公開されたと同じくして、
彼等はある賞をとった。その歌や踊りが高く評価された証だ。
ステージの盛り上がりも凄くて、
誰もが歓声に飲まれそうだった。
だから、彼等は彼女に感謝した。
だって、このステージは俺達が取りたかった。来たかった場所だったから、
彼等は抱き合った。嬉しくて、
涙もした。
彼女の考えてくれたステージも素晴らしくて、
ファンの心を掴んでくれる。
それと、ライブをする楽しさ、歌をする面白さ、ファンの為に、練習する事、
当たり前だった忘れてしまった。あの時のステージが今、ここにある。
もちろんファンにも感謝してるよ……
でも、彼等はステージを終えると、彼女に向け、真っ先に走った。
そして、全員で彼女を抱きしめる。
「な?っんすか!?」
そして、笑った。
「レイ!!ありがとう!!」
だけど、彼女は首を傾げ
「違います皆さんの頑張りが評価されたんっス……だから、私に感謝はおかしいっすよ!けど、っ……おめでとうっス!」
と彼女は少しだけ、泣いた。
彼等はその涙をただ、ただ、目に焼けつけるのだった。