第5章 踊る練習者
彼女はジミンの質問に首をかしげ
「どうしてでしょうね?」
「どうしてって…」
「それは、分かりませんが、私は色んな人を見てきたし、どんな人もやって来たっス…それも、全部…上がらせて…高めるためっス…」
「高める?何を?」
「何をって…メイクはなんのためするんだと思うんですか?」
「えっと?綺麗に見せる為かな?」
「それもありますが…人の持つ魅力を引き出す為や綺麗なその人の内なるものを輝かせる為にあるんだと私は思うんっす!
だから……私は努力出来ない奴にはメイクはしないし、服も選ばない!」
「服?…」
「あれ?聞いてないんっすか?私は、皆さんの衣装も担当するんッスよ?」
ジミンは彼女の言葉に少し才能がある彼女が羨ましくなった。
僕等は決して…天才じゃない…努力だ。
世界や韓国では僕等を天才だと言うけれど……努力でのし上がったんだ。
「多才なんだね…」
だから…才能があるものが羨ましいのは当然で…酔える気力がある。みんなも少し偶にだけど………妬む時があるんだ。
ジミンは下を向き、そう彼女に言った。
多才何だねと、
でも、彼女は彼の言葉に、立ち上がる。
少しだけ、ジミンには、彼女が怒っているようにも見えた。
「多才ですか?どうでしょう…色々しているのは、全部大好きなメイクにつなげるため、手を出しただけっスよ。
なんでも出来るから多才にしないで頂きたいっス!」
この時、ジミンは、少しだけ、PDが彼女を専属にしたいとゲームを持ちかけられてでも、欲しがった理由がわかった気がした。
彼女は…きっと僕等と似た者だったから、
いや、才能に酔わずやってく、強さを持った強い人だからか…
「ごめんね…」
「謝らないで欲しいっす!でも…ゲームで1年間しかいないっスけど……皆さんがここに戻りたくなるまで、変えてやるっすから!」
そう言った彼女の顔は、先程から見ていたものより、美しく、綺麗で…
彼の目に焼き付く
っ…なんだよ…あの笑顔…
日本人でも、あの人なら、……僕等を変えてくれるのかな……
1年……されど1年かもしれない…
でも、どうしてだろう…君のあの笑顔をまた、見せて欲しいって思うのは…
そして、僕が彼女に惹かれたのは、この頃からだったのかもしれない