第2章 行方知れずの君
ーーー安土城内ーーー
秀吉「何?!が帰って来てないだと?」
広間には武将達が集まり軍儀の後、夕餉までの時間、酒を酌み交わしていた。
信長がに酌をさせるから呼んでこいと言い出し、女中に呼びに行かせていたのだったが、
戻ってきた女中からの思いがけない言葉にどの武将も酒や茶を飲む手を止め視線を向ける。
女中「はい、様は針子仲間に反物を届けたらすぐに戻ると仰られた様ですが、まだお部屋には戻っていらっしゃらないご様子で…」
家康「はぁ…あの子何なの…前にも勝手に城を飛び出して襲われかけたのに、懲りてないわけ?」
政宗「あのときは確か家康が見つけたんだよな?
家康の事だ、どうせ助けに来たのも信長様の命だから仕方なく、とか何とか言ったんだろ」
家康「っ……まぁ、実際その通りだった訳ですし」
光秀「成る程。お前の天邪鬼な性格をあの小さな頭では理解できなかったというわけか」
秀吉「どうなんだ?家康。何かを傷つけるようなことを言ったのか?」
家康「は?ちょっと…何で俺が悪いみたいになってるんですか?」
皆の言葉を受け、あからさまに苛立った表情を向ける家康に、三成の一言が向けられる。