第6章 ~帰る場所~
外には佐助の姿はない。
佐助はこの場所に信長たちを案内したあと、信長たちに「あとはお任せします」とだけ告げ、夜の闇へと姿を消したのだった。
あんなに動かなかったとは到底思えない程の足はひたすら前へと進みながらも、頭の中は混乱していた。
ーーーーー逃げなきゃ
ーーーーーでも、どこへ?
ーーーーー何から?
ーーーーわからない
ーーーーわからないけど、此処にいちゃダメな気がする
後ろのほうから名前を呼ぶ声がするが、混乱した頭の中では例え味方であっても、敵に追いかけられていると錯覚してしまう。
漆黒の闇の中、涙で目の前の景色は霞み、ついには濡れた着物と泥濘んだ地面に足を捕られ、その場に倒れ込んでしまうのだった。