第5章 暗闇の果て
ぐったりとして全く動かないその体を抱きかかえ
、何度もの名を呼びながら体を揺すり、
頬を叩く家康に、
政宗と秀吉は直ぐにでも側へ駆け寄りたい衝動を抑え、眉間に皺を寄せながら斬り掛かるのを躊躇う浪人達の方を見据え、
信長は大名の喉元に刀の切っ先を当てたまま視線だけをそちらに向ける。
の喉が微かにヒュッと鳴ったかと思うと、勢い良く咳込み出す。
「ぐっっ……げほっげほっ…!!」
呼吸を取り戻したを見て家康は安堵の溜め息をひとつ吐くと、優しく背中を擦り、呼吸の手助けをする。
浪人「ちぃっっ!全員で掛かれば負けねぇ!」
浪人「一気に殺ってしまえっ!!」
残っていた浪人達はやけくそになったように刀を振り上げ、秀吉と政宗へと斬りかかるが、次々に床へと斬り伏せられていく。
家康「、ゆっくり息を吸って」
優しくの背中を擦る家康。
しかし、の朦朧とする意識の中では状況を理解するより先に、まだ誰かに体を触れられているという恐怖が頭と心を支配するのだった。
「ぃ、やっっ…嫌あぁぁっ!!」
家康「っ…!!!」
家康を力一杯押し退け、手を掴むより先に、は外へ飛び出して行く。
その直後、信長の一太刀が振り下ろされ、大名の最期の声が闇夜に 響き渡った。