第5章 暗闇の果て
無意識とはいえ、大名にとって復讐を願う信長の名前を叫んだに対し、
大名は怒りで顔を歪ませながら声を荒げると、
体に触れていた手をの喉元へ運ぶ。
ギリギリギリッッ………
怒りと狂気に満ちた顔を向け、喉の骨が折られるのではないかという力で思い切り首を絞められる。
「ぅぐっ……ぁ………」
(これ、本気で殺されちゃうやつだ)
ーーでも、これで最後……
もう私のせいで貴方が迷惑をかけられる心配も、手を煩わされることも無くなりますよ…
ね?信長様ーー
朦朧とする意識の中、妙に冷静な自分に驚きながら、脳裏には安土城の武将たちの顔が浮かぶ。
(信長様…みんな…最後の最後まで迷惑かけてごめんなさい…
でも、もう終わるから…)
閉じた瞳から涙が一筋零れ落ち、ふぅっと意識が飛んだ瞬間、外で待機していた浪人たちの叫び声がしたのと同時にボロボロの扉が勢い良く蹴り壊された。