第1章 春日山城で起こった珍事件
謙信と共に視察を終え広間の襖を開けた途端、明らかに何かおかしなことになっていた。
信玄様が怒鳴り、幸村が甘い言葉を囁いているのだ
幸村「お帰り、俺のかわいい天女。ほんの数刻でも君の顔が見られないと、寂しさで心が病んでしまいそうだったよ」
信玄「ちょっっ!!人の体で変なこと言うな!!離れろっ」
幸村「幸の顔で甘い言葉を姫に囁くのもまた、姫の違う表情が見れて良いものだな」
チャキッ…
謙信「…お前たち、戯れにも程がある。二人して斬られたいのか?」
佐助「謙信様、どうどう。これには色々と事情があって…」
謙信「色々ではわからん。何だこれは…」
佐助「実は、忍び仲間が面白い煙玉を手に入れたということで分けてもらい、幸で試そうとした所を偶然、信玄様が入ってきてしまって…
何故か、二人の中身だけが入れ替わったようです」
(佐助くん、サラッと説明してるけど、とんでもないこと言ってるよね?)
謙信「中身だけが…?何故そのようなことが起きる?」
佐助「原因は分かりませんが、恐らく煙玉に含まれていた成分によるものだと思います。
多分、そのうち効果が切れると思うので暫くは辛抱を…」
信玄「…おい佐助、よくもそんなモンを俺で試そうと思ったな。怪しいにも程があんだろ」
(確かに…)
幸村「ほら、謙信ー?佐助もこう言ってることだし、刀を収めておけ。姫も怖がっているだろう?」
謙信「………信玄の顔でも苛立つが、幸村の顔で言われるとまた苛立つものだな」
信玄「信玄様、頼むから止めてくれっ!俺が謙信様に斬られちまうだろーが!!」
謙信「成る程、良い案を考えついた。
中身が信玄の幸村に稽古をつけてやる。違った意味で愉しめそうだ」
幸村「おっ、そうだなー、それはなかなか面白そうだ」
信玄「はあぁっっ!?冗談だろ!?そもそも佐助が原因作ったんじゃねーか!お前が責任とって止めろ!!」
佐助「いや、謙信様も信玄様も楽しそうだし、
幸の体で中身が信玄様ならノープロブレムだ。
俺はこれにてドロン」
(あ、佐助くん逃げた)
信玄「あっおいこら!!訳わかんねー南蛮語使って消えんな!」
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