第10章 雪から生まれた想い
…ここは…何処だ…
真っ暗で何も見えない…
<…ゴポゴポ…>
この音は水音…?
…ああ…そうか…ここは『再生の泉』か…
『人間に生まれ変わって、俺の所においで…』
雅紀…ごめん…
俺…ひとつだけ雅紀に黙ってた…
人間に生まれ変わった雪人は、一族保護の為に雪人だった時の記憶を全て失う…
俺が人間に生まれ変わったら…兄さんの事も…雅紀の事も…
人間に生まれ変わっても、雅紀の側にいれないなら…
俺は人間になんてなりたくない…
ならこのまま自然に…
そう思っていたその時、目を開けると…
ー…ここ…は…ー
視界の上に水が揺らめいているのが見えた
ーもしかして…再生の泉の…底…ー
そう確信した時、息が苦しくなり、俺は水面まで泳いで上がった
潤「プハッ!…はぁ…」
まさか…俺…人間に…?
何で…俺は人間になりたいとは思ってない…
岸まで泳ぎ水面から上がると、何も着ていない俺は外気に触れて急に寒さを感じた
寒い…今までこれくらいで寒さを感じた事なんてない…
やっぱり人間になったのか…
でも何で…
何で俺記憶が残ってるんだ…