第1章
年に1回の女だけの宴会は夜まで続き、帰ってくる頃には21時をすぎていて、まだ子供だった俺は疲れはて、いつもおばあにおぶってもらい帰って来てた。
俺は誕生日に豪華なご馳走を食べるより、ケーキやプレゼントをもらうより、こうやっておばあにおぶられて帰って来る事の方が一等嬉しくて、それがたまらなく幸せだった。
おばあからはいつもいい匂いがして
おばあの背中はいつもあったかくて
おばあの鼓動はいつも心地よくて
俺のために歌ってくれる子守唄が大好きで、チビの時はこれがずっとずっと続くと思ってたのに…
中学に入った頃からチビだった俺は背がグングン伸びて、沖縄武術で鍛えられた体は体重も筋肉も増え、気づいたら見上げていたおばあを見下ろすくらいになってて
日課のおばあの肩を叩きながら、日に日に小さくなっていく背中が無性に悲しかった。