第20章 送るという名の拉致
一服して、翔さんと部署に戻ったら
まだ何人か残業中の連中がいた。
その中に帰り支度をする主人公名前の姿を見つける。
「主人公苗字さん、お疲れ。」
翔さんに気付いた主人公名前の顔が明るくなる。
翔さんは主人公名前の憧れ。
「お疲れ様です櫻井さん!」
そして主人公名前は翔さんの後ろに隠れていた俺に気づく。
なぜか一瞬固まって背筋を伸ばす主人公名前。
「お、お疲れ様ですニノミヤセンパイ…」
「…んですか、それ。」
主人公名前のロボットみたいな話し方に翔さんが笑った。
「んはは、ほんと何それ!
てか、主人公苗字さん今帰り?
二ノがメシ食いたいつってんだけど付き合わない?」
「えっ、」
また主人公名前が私をチラッと見る。
…?
何なんですか、まじで。襲いますよ?
「…行くの?行かないの?」
いつもと様子が違う主人公名前に調子が狂う。
「またそんな聞き方してえ。
主人公苗字さん、来てほしいんだって二ノが。」
ちょっ!翔さん…余計なことを。
主人公名前にバレないように睨むと
翔さんはペロッと舌を出して笑った。
「い、行きます。」
そう言った主人公名前の顔が赤い。
おかしい。…まさか、