第16章 次は
「お、起きてたんですか。」
「…起こされたの、デコピンに。」
「そんな、ガチャピンみたいに
言わないで下さい。」
「…」
す、すみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみませんすみません。
冷たい空気に耐えられなくて、下を向いて目をぎゅっとつむり、すみませんを呪文のように唱えた。
掴まれた腕がグッと引き寄せられる。
目を開けるとさっきまで目の前にいた先輩の姿はなく、二宮先輩の心臓の音だけが大きく聞こえた。
「…聞こえます?心臓の音。」
「…は、はい。」
「大野さんにこんなこと
されたらどうする?」
「!?」
先輩の言葉に体がビクッとする。
慌てて離れようとすると先輩の腕の力が強まった。
「!?せ、先輩!からかってますか・・・?」
なんで大野さんの名前が出てくるの?
先輩が何をしたいのか全然わからない。
「いいえ、からかってませんよ。
やいてんの、大野さんに。」
先輩に抱かれてる部分が急に熱くなる。
先輩の体温じゃない。
……私だ。