第15章 弱った日
「…ゴホゴホッ……」
脇に挟んだ体温計がピピーっと音を出す。
デジタルの数字は38.2を示す。
……風邪を引いた。
昨日主人公名前と言い合いになって
「わかってないのは先輩の方」
なんて言われた。
あなたのことなら何でもわかってる
…はずだったのに。
「…ゴホッゴホッ!…」
天井に向かって咳をした。
一人暮らしの風邪ほど厄介なものはない。
…とりあえず風呂…入ろ。
ぼーっとする重たい頭を起こしベットから出た。
もともと体温は人より低い。
八度台の熱は死ぬほどきつい。
ふらふらした足取りで
そのまま風呂場へ向かった。
風呂あがったら病院行って
薬もらって飯買って…
朦朧とする意識の中で頼れるのは自分ひとり。
やらなきゃいけないことを頭の中で整理した。
風呂の中で意識を保つことが
大変だったのは言うまでもない。