第13章 偶然の二の舞
「何、泣かせてんの。」
気づくと牧田の前にいた。
「先輩!なんで・・・」
友人1あだなが驚いてこっちを見ている。うん、ちょっとね、と言ってまた視線を牧田に向けた。
「・・・に、二宮、わけわかんねぇよ、お前の後輩。
いきなりでけぇ声出してしかも泣き出すし。」
立ったまま涙を流す主人公名前を見た。
視線が合った瞬間、一瞬ビクッと体が揺れたがすぐに涙を拭き
「先輩、なんでもないよ。」
と何事もなかったように言う。
「・・・これで、何もないわけないでしょ。」
「何もない。」
俺に何も言わない主人公名前に苛立つ。
「なんなの、主人公名前。
マキタ達のことかばってんの?」
それにつられて声は低く、言葉は早くなる。
「・・・」
「・・・牧田、池田」
牧田と池田がこちらを見る。
「こいつら、連れて帰るから。
いいよね?」
「お、おお。」
失礼します、と牧田達に冷たく言った友人1あだなは無言の主人公名前の背中を押して行こう、と促した。