第9章 嫌な予感
席に着くと営業部の先輩2人が俺らに気づいて話しかけてきた。
「課長、お疲れ様です。
私達もご一緒させて頂いてよろしいですか?」
一度俺をチラッと見る大野さん。
「あー・・・悪いけど」
「いいですよ、大野さん。
先輩方、是非ご一緒に。」
先輩たちにニッコリ営業スマイル。
大野さんが寂しそうな顔をする。
わかったって
感謝してますよ。
ほんと優しいんだから。
大野さんが断ろうとした理由は簡単。
「あれ、二宮君いたの?
気づかなかった。」
外面のいい私でも
営業部のこの先輩達だけには
嫌われてる。
原因はあのうわさ。
先輩たちは席に着くとすぐに
確信のついた質問をぶつけてきた。
「二宮君さ、安西さんと付き合ってるの?」
大野さんがあから様に嫌な顔をする。
ばかだなあ、先輩達。
こういうのに気づかないから
モテないんですよ。
「んなわけないじゃないですか。
うわさです、うわさ。」
「だよね、
安西さんと付き合えるわけないよね
君が。」
「・・・もおさあ、」
あ、大野さんがやばい。
「んふふ、大野さん、ハイ。
エビフライ、あげますね。」
日替わりのエビフライをポンっと大野さんの皿に移した。
「・・・え?くれんの?」
ふふふっ、嬉しそう
さっきまで先輩たちへ嫌悪感丸出しの顔してたのに、俺を見つめてキラキラしてる。
「だから、少しだけ我慢しててくださいね?」
大野さんは口を尖らせてうん、と頷いた。
「先輩、安西さん狙ってんすか?」
「いや、今は・・・そうだ、
二宮君とこに主人公苗字さんっているよね?」