第22章 私の気持ち
二宮先輩は私のことを一番だと言った。
どうゆうこと?
二宮先輩の大切な人って
私のことだったの…?
「…っはぁっ、はぁっ」
勢いよく走って来てしまった。
気付くと私は自分のオフィスとは違う
棟の正面玄関に来ていた。
何にも言わずに逃げ出してきた。
何してんだろう私…!今頃先輩…
「…主人公苗字さん…?」
声をかけられ
顔をあげる。
「あ、安西…さん!」
もう辺りは暗かったけど
微笑んでくれたのがわかった。
「お疲れ様、どうしたの?こんな所で。」
「あ、いや、えっと…」
言えない。
安西さんに先輩とのことなんて
言えるわけない。
でも安西さんの声に、笑顔に、
泣きそうになった。
「…何かあったんでしょ?」
「…い、いえ!なにもっ!」
私は首を横に振る。
暗くてよかった。
「…嘘。ほら、泣きそうな顔してる。」
駄目だ。
隠せない。
「…あ、安西さんっ…
わ、私馬鹿だから
自分がわからなくてっ…!
考えれば考えるほどっ…
ますますダメになっていくばっかりで
もう…わかんなくて…っ…
今もきっと傷付けてる…」
また訳のわからない涙が出る。
「言われたんだ、かずくんに。」
ビックリして安西さんの顔を見る。
「ふふっ…なんで知ってんだ
って顔してる。」
安西さんは笑って私の涙を拭った。
「かずくんね、デートしてくれた時
ハッキリ言ってくれたの。
出逢った頃から
主人公苗字さんのことが好きだって。」
「!」
「すごいよね、
ずっと自分の気持ちを押さえるのって。
難しいよね、言いたくなるもん。
私の気持ち、気付いてよって。
主人公苗字さん、もしかずくんのこと
一番じゃないんなら私…
行ってもいい?」